2017年2月8日

躁うつ病

躁うつ病(双極性障害)とは、うつ期のみのエピソードで構成される、「うつ病(大うつ病性障害)」とは異なり、躁期とうつ期を繰り返すもののことを言います。

躁うつ病の基本的な特徴は、異常に高揚した気分(躁期)が1週間以上続くところにあります。
その大体は、爽快な気分で占められますが、イライラしやすくなったり、怒りっぽくなったりもします。

躁期とは、いわゆる「ハイ」な状態の期間であり、
具体的には、「ほとんど眠っていないのに頑張れる」、「新しいアイディアが止まらなく湧いてくる」、
その一方で、「イライラして腹が立って仕方がない」といった症状が見られます。
そして、このような状態は、その人が普段示す姿とは、明らかに程度が著しく異なっているのです。

躁期を見極めるには、以下の点に注目をします。
これらの項目の内、3つ以上が当てはまる場合、その人は躁期(躁状態)にあると言えるでしょう。

① 過度の自尊心、あるいは誇大妄想。
② 睡眠欲求の減少。
③ 普段よりも多弁で、話したい気持ちが強い。
④ 考え方が次々と飛ぶように湧いてくる(観念奔逸)。
⑤ 注意力が散漫になり、ちょっとしたことで注意が逸らされてしまう。
⑥ いてもたってもいられない焦りを感じ、やたらと活動的になる。
⑦ 夜遊び、高額の買い物やギャンブルといった、享楽的な活動に熱中する。

 

一方で、うつ期の時には、うつ病の時とほぼ同じような症状に見舞われます。
躁うつ病のうつ期と、うつ病の症状の違いについては、はっきりとした線引きは中々困難ですが、
不眠よりは過眠の傾向、食欲低下よりも過食の傾向がよく見られます。

躁うつ病の人は、躁期のときを「自分が好調なときである」と感じており、
自分が病気である」という自覚(=病識)を持つことが難しい状態となっています。
そのため、もし周囲の人がその人の変化に気付き、病院にかかることを勧めたとしても、
すぐさま治療開始へと繋がるケースは、実際のところ、余り多くはありません。

しかし、躁うつ病は、うつ病よりも慢性化しやすく、経過や予後も良くないと言われています。
また躁期は、一見すると気分爽快なようですが、
同時に行動化や衝動性が高まってしまうため、うつ期よりも自殺率が高くなります。
このように躁うつ病は、放置しておくと非常に危険であり、治療する必要がある病気なのです。

双極性Ⅱ型障害とは…?

躁うつ病(双極性障害)は、大きく2つに分けることができます。
それが、「双極性Ⅰ型障害」と「双極性Ⅱ型障害」と呼ばれるものです。

躁期とうつ期がはっきりと表れる「双極性Ⅰ型障害」に対して、
双極性Ⅱ型障害は、うつ期が主で、躁状態が比較的軽いタイプが分類されます。
つまり、双極性Ⅱ型障害の人の場合、うつ期のときにとても辛い思いをする一方で、
躁期のときには、「いつもよりは気分が良いな」「久し振りに好調だな」と感じるわけです。

かつて、躁うつ病は、人口の1%に発病すると考えられていましたが、
近年の調査・研究により、その割合は、従来考えられてきたよりも、ずっと高いことが分かってきました。
それは、双極性Ⅱ型障害の人の多くが、
うつ期のときにのみ受診をしてしまうこと、
過去にあった軽躁状態が自覚しにくく、医師に伝えられることが少ないこと等、
このような事情から、問診による病状把握が難しく、プライマイケアで「うつ病」と診断されてしまいやすいのです。

うつ病と躁うつ病では処方される薬剤が変わってきます。
躁うつ病の人が、うつ病の薬剤を飲み続けることにより、
場合によっては、かえってうつ症状を悪化させてしまうことさえあります。
そのため、「うつ病」と診断されてしまった双極性Ⅱ型障害の人は、
「お薬をきちんと飲んでいるのに、ちっとも良くならない…」
「お薬を飲むと、却って気分が落ち込む気がする…」
―――といった状況になってしまうことも少なくはありません。

薬剤がなかなか奏功しない「難治性うつ」と呼ばれる人たちの中には、
このような双極性Ⅱ型障害の人が含まれている可能性も考えられるのです。

双極性Ⅱ型障害の発病には、家族歴などが関与しているという報告もありますが、
なによりも、あなた自身が「双極性Ⅱ型障害」という病気が存在することを知った上で、
自分の生活や経過、これまでの気分の波を振り返ったとき、
そして、正確な自分の病状を知り、それを医師に伝えることが出来たとき、
あなたの治療方針に新たな展開が開けるかもしれません。