精神疾患(その症状)と、"自分が存在する意味”について

 こんにちは。

関東地方も今日から雨模様のお天気が続くようで、いよいよ梅雨入りでしょうか。

 お天気によって、人間の気持というのは左右されるもので、精神的に不調であると、お天気の影響を、敏感に受けやすいように思われます。

 さて。本日のテーマは『精神疾患(その症状)と、”自分が存在する意味”について』です。

 精神疾患やその症状と言っても、とても多種多様のものがありますので、本日は、うつ病やうつ状態における症状をいくつか取り上げながら、お話してみたいと思います。

 うつ病やうつ状態になると、気分が沈み、やる気が起きず、食欲も落ち、睡眠も安定してとれず、不安や焦る気持ちが出てきたり、普段楽しめていたことも楽しめなくなったり・・・します。病院に行くと、「できるだけ休養を取りましょう」「薬を併用しながら、心の(脳の)エネルギーが回復するのを待ちましょう」「気分が沈むのは、病気のせいなので、今は人生の大事な決断をしないようにしましょう」などと医師から助言されます。

 しかし、今の日本の社会においては、なかなか、「ゆっくりと静養する」ということ、「決断を保留すること」「ゆっくり回復を待つこと」は、環境的にも、気持ち的にも、難しいと感じられることが多いのではないでしょうか。

 また、うつ病やうつ状態になりやすい人は、元来まじめで、頑張り屋さんが多く、一生懸命に、周囲から求められることにこたえようとする方が多いとされています。(※ただし、最近では、従来からのうつ病・うつ状態とは異なる状態像の方も増えている、という研究もありますので、そのことについては別に、機会があればこのブログでも取り上げることにしましょう。本題に戻りまして…) 現在の日本の社会では、高度経済成長以降、多少の価値観の変遷はあったのかもしれませんが、それでもなお、この不況状況も、「一生懸命に頑張ること」「弱音は吐かないで、乗り越えること」「生産的に、なにか価値のあることを生み出してこそ、社会の一員としての存在価値がある」といった価値観が、暗黙のうちに共有されているのではないか、と思われます。 実際に、どこの会社も家庭も、経済的に余裕があるわけではない中で、精神的な不調(のみならず、身体的な不調を抱えている人、あるいは、バリバリと働くことが困難な様々な要因)を有する人たちを、会社が・家庭が・社会が、抱えることが難しい状況である、と見受けられます。

 となると、この社会の中では、「ゆっくり休んだり」「決断を保留して、しばしそのままにとどまること」そして「回復を待つ」という有りようは、「生産的」でもなく、「頑張って乗り越える」という価値観とは相反する、「弱音を吐いている」ような状態であり、社会の中での居場所が感じられにくく、自分の存在を否定しないではいられない、いたたまれない気持ちにならざるを得ない、と言えないでしょうか。

 もちろん、うつ病やうつ状態のために、気分が沈んで自分の存在価値を認めにくい心理状態にある、ということもあるでしょう。しかし、それのみならず、社会の全体的な雰囲気として、「ゆっくり休む」ことが容認されないような価値観が漂っているとしたら、本来、生物としてのエネルギーが低下してしまっている状態としてのうつ病を患っている人が、ゆっくり休むことを余計に困難にしているといえるのではないでしょうか。

 「ゆっくり休むこと」と“甘え”は異なります(※“甘え”ということば・概念自体も実はとても複雑な概念なので、その詳細はまた別の機会に譲ります)。その識別を行って、休むときには休むことができることが、人間にとって必要なことであり、そのことを認識できる社会のありようが、“健康な”社会だと思われるのですが、今の日本社会には、その余裕があまりないように思われます…。

 と、社会批判をしたいわけではなく、簡単に申しますと、「今の日本の社会では、ゆっくり休むことが難しいと感じられることが多い」ために、うつ病やうつ状態になった人は、自分が生産的なものを生み出さず、ただ休んでいるだけで意味のない存在であると、うつ病・うつ状態の症状のためのみならず、余計にそう感じやすい、ということができるのではないか、ということです。

 そういった意味でも、社会で当たり前とされている価値観とは、ちょっと外れて、自分にとって、どのような価値観で、どのような生活をすることがよいのか、ということを、うつ病・うつ状態のときには、あらためてさぐってみる機会になる、とも言えるわけです(渦中においては、そんな余裕のある発想はなかなか持てませんが・・・)。

 お天気にも左右されるような、実は、私たち人間のこころは、揺らぎやすいものだし、いろいろなものに影響されて疲れるものであると言えます。お薬や静養を勧めることのお手伝いに加えて、その方がご自分に合った生き方を発見することのお手伝いを、クリニックの医師やカウンセラーができれば、嬉しいと思います。